『独立開業・繁盛ノウハウ』~新・飲食ビジネス入門/株式会社TOKUCHI 平山徳治氏~
- 2010年4月 7日 10:02
■■プロフィール■■
株式会社TOKUCHI
代表取締役 平山徳治
1971年、東京都北区生まれ。2度の税理士資格に失敗し、単身イギリスへ渡る。そこである
ベーカリーショップと出会い、帰国後26歳で無国籍料理店を開業。7年続けたが業績の悪化から、業態やコンセプトを全く変えた『根室食堂』を誕生させた。
資金のない状態から始めた
立ち飲み屋を超繁盛店へ!
1店舗1,500万円稼ぐ経営者
自身の記憶や経験から
ブレない信念を持つこと
平山氏は幼少時代、父親に連れられてよく立ち飲み屋に行っていたという。「キャンディをもらって、テレビを見てました。小さい頃の記憶を思い出すような雰囲気が、根室食堂に反映できていると思います」。立ち飲み業態を選んだ理由の一つには、自身の記憶が活きている。また、お客が徐々に離れていった初店舗『エミルタ』での経験は、平山氏の信念を確立させた。
その信念とは何か。一つは「立ち飲みスタイルを変えないこと」。「エミルタ」を閉め、立ち上げた『根室食堂』に来たお客からは「座りたい」との声が聞こえた。立ち飲みが受け入れられず、売上げが6000円の日もあった。しかし、平山氏は言う。「賛成派と反対派のお客様がいますが、賛成派の方を大切にしていると、いつかは繁盛すると思うんです」
事実、中目黒店、学芸大学店は繁盛店に成長した。その後、ファンド会社からのオファーがあり道玄坂出店が決まり、不動産オーナーなどから出店の声もかかった。
もう一つは「店に食洗器を置かないこと」。便利さをなくしたいと話す平山氏。このことで、スタッフは仕事をこなすために自然と急ぐ。また、一棟営業のため階段を駆け上がり、インカムを使わず大声で注文をとる。頑張っているスタッフにお客は声援を送り、結果スタッフとお客が一丸になって店を盛り上げている。
開店当初からのブレない信念によって、根室食堂には多くのファンが生まれている。
北海道海鮮問屋 根室食堂 道玄坂店
間口を広くとって"混ませる"店を造れば、それがおいしいモノを出す合図になる
――平山氏
■■Q&A■■
Q.初期投資はどこに重きをおいたらいいのですか?
A.『エミルタ』は、自己資金と融資を合わせて2500万円で始めました。内外装にはお金をかけて。
けど、中目黒で始めた『根室食堂』は1500万円。焼き鳥店の居抜きで借りて、造作譲渡が750万円、保証金が250万円、什器関係に300万円ほど使ったら、内装にお金がかけられなくなってしまいました。だから棚を外して店名を書いて看板にしたり、廃棄されてるテレビをもらったりと(笑)
お金がなかったから、こういう店になったんです。その後の出店も初期投資をなるべく下げて、無借金で出店しました。
ただ、内装にかけない分、保証金はしょうがないと考えています。人が通るところは保証金が高いので。人通りの多い場所に繁盛店を作ることで、さらに人を呼ぶことができますからね。
北海道焼肉屋 根室食堂
Q.店舗の内装について教えてください
A.「エミルタ」では、花咲ガニを低価格で提供していたのですが、お客様に伝わらず売れないという経験をしました。内装と低価格の食材とが、マッチしていなかったんでしょうね。
そこで思ったんです、料理と空間どちらかを重要視した方が、お客様には伝わり安いんじゃなかいかって。うちでは、食材にお金をかけることを重要視しています。
現在の3店舗は全て一棟借りなんですが、それは満席のリスクを回避するためです。窓口となる1階は厨房を置いて、わざとスペースを狭くするんです。30人も入れば満席になって、通りからは繁盛店に見えますよね。けど、上階には空席があるので、お客は入れるんですよ。さらに、長居しにくい混雑状況は、回転率を上げることもできます。繁盛店の最高の内装って、お客様なんじゃないですかね。
Q.仕入れ先の開拓や付き合い方は?
A.元々の仕入れ先は常連客の方から、札幌中央市場にお店を持っている人を紹介してもらったのがきっかけです。その後、東京根室会の会長さんや幹事長さんが生産業者さんを紹介してくださり、現在では根室市の側面的なバックアップを受け、仕入れ先も拡大しています。
私は「人あっての根室食堂」だと考えているので、人との付き合いは大切にしています。根室市へは2ヵ月に1回スタッフを数名連れて行き、面と向かって話をさせて、こちらの気持ちを伝えたり生産者さんの想いを感じたりするようにしています。
スタッフに、どういう方がどういう魚を獲っているかを実際に見せることで、思い入れが変わってきますよね。それがスタッフの育成にもつながっていると思うんですよ。
Q.開業される方々へアドバイスをください
A.店頭の間口を広く取ること! 店への入りやすさは売上げを左右します、実際道玄坂店では、入口の扉を開ける日と開けない日では、売上げが変わるんですよ。
あと、欲を出しすぎないこと。根室食堂の場合、お客様は"おいしいものを食べたい"という考えでいらしてくれています。なのでうちでは、空間造りよりも食材にお金をかけているんです。そうすることで「根室の食材を使った店」という産地テーマをはっきりとさせることができますしね。
1店舗目を繁盛させた方は、地域一番店になるように努力して欲しいですね。そのためにはどうすべきかを、オーナーさんが必死で考えれば、店舗展開してもその考えを受け継いだスタッフが店を育ててくれると思うんですよ。
東根室食堂
■■TOKUCHIの歩み■■
96年11月 都立大学駅前に無国籍料理『エミルタ』オープン
01年 8月 酒メーカー主催「カリフォルニア・バイザグラス・プロモーションに参加し、入賞する
05年12月 中目黒に移転し、完全立ち飲みスタイル『根室食堂』に業態チェンジ。7坪で月商550万円売上げる
06年12月 学芸大学に『根室食堂』暖簾分け店オープン
07年10月 株式会社TOKUCHI設立
08年 7月 ファンド会社から声がかかり、渋谷道玄坂の新築ビル一棟を丸ごと店舗とする新スタイル『根室食堂』オープン。中目黒、学芸大両店を閉店
09年 4月 渋谷宮益坂上に2号店オープン
09年 6月 新橋に3号店オープン
09年12月 新橋店の地下1階に定食メインの『東根室食堂』オープン
10年 2月 新橋店の4階に根室ハーフ和牛を使った焼肉店『北海道焼肉屋根室食堂』オープン

「独立開業応援雑誌『新しい飲食店開業』4月号より転載」
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