『独立開業・繁盛ノウハウ』~わたしの独立ストーリー(と独立後も続くストーリー)/『炉端焼き 一歩一歩』~
- 2010年3月 3日 09:31
失敗から学ぶことを忘れない
常に前を向いて歩き続ける大将
■□プロフィール■□
大将 大谷順一さん
1974年生まれ、葛飾区亀有出身。祖母が営んでいた八百屋を18歳から手伝い、その後飲食の道へ進む。和食、居酒屋業態を経験し、13年目の2007年3月『炉端焼き一歩一歩』をオープンした。
変わらずにあるために変わる!
理念達成のために変化し続ける
今の場所に出店を決めた時、地元の事情をよく知る同業者やスタッフに強く反対されたという。それというのも『炉端焼き一歩一歩』が出店しようとした場所は、人通りの多いメインストリートから一本折れた小さな通りに沿ってあったからだ。「これより先では、何をやってもダメ」というのが通説だった、と当時を振り返って大谷さんは笑う。
結果は、北千住でもまれに見る成功を収め、地域の大繁盛店として名を馳せている。「これより先では、何をやってもダメ」だった通りには、同店の成功後7軒もの飲食店がオープンした。地域の活性化にも一役買った格好だ。
「地域に愛される店づくり」は、創業当時から変わらない目標だった。また、お客さんの喜びに対して妥協した日は1日もない、と大谷さんが胸を張るように、「すべてはお客様の喜びのために」という経営理念は少しも揺るがない。「日本の食文化を伝える」という思いは、オープンから3年が経った今も強まるばかりだという。
「もっと伝わるように伝えたい」。創業当時はカウンターにディスプレーしていた炉端焼きの食材は、今、かご盛りにしてお客のもとへ手持ちするスタイルに変わった。変わらずにあるために変わる。それが大谷さんのやり方だ。
(Q&A)
Q.ずばり、繁盛のコツは何でしょうか?
A.「扉を開けやすい状況を作ること」が大事だと思っています。しかも、それは造り付けの外装が作るのではなく、中で働く「人」が作るものです。
僕がスタッフによく言うのは、「何分に一度入口を意識しているか」「外を歩いている人と何度目が合うか」です。目が合った時に「こんばんは」と声をかける。その時に足が止まって、足の向きがほんの少し変わりますよね。それがすごく大事で、「何の店ですか?」「こういう店なんですよ。寄ってくださいね」というコミュニケーションがとれる。
うちは、ぐるなびでも一番安い条件でしか掲載していませんし、雑誌の取材も断ることが多いです。目の前を通っているお客さんに声をかけることが、一番の販促だと思っています。
Q."お客さん満足度"をとても大事にされています
A.お客さんの喜びに対して妥協した日は1日もない、です。
扉を開けてくれたら、大きな声で「いらっしゃいませ!」って言うことで、最初のインパクトを与えられますよね。席に着いたら、食材を盛ったかごを持っていって、「おいしそう」「おいしいですよ」って会話の中で注文も決まっていく。メニューを見て注文を決めるのでは、つまらないですよ!
初来店のお客さんには「今日、入ってよかったですか?」と聞いて、中間でも印象を強く残してもらう。会計後は、手書きのメッセージ入りミカンを渡して、背中が見えなくなるまでお見送りします。そういうのがイヤという人もいます。でも、「ここまでやるんだな」と思ってくれるお客さんがうちのお客さんだと思っています。
「今日も出会いにありがとう」など、手書きメッセージ入りミカン
Q.閉店した2号店について、お聞かせください
A.2008年9月に2号店を出したんですが、次の年の9月に閉店しました。鼻が高くなっていたんですね。1号店では、売上げがずっと右肩上がりでしたから。でも、折られてしまって。
営業していた1年間で、8人いたスタッフが5人やめてしまったんです。なぜだ?って。3ヵ月は考え続けました。僕は1号店のオープン以来、ずっとお客さんの満足度アップのためにがんばってきました。でも、従業員満足度はどうだっただろう、と。
㈱一歩一歩の新しい存在価値は、「全スタッフを守り、幸せにすること」としました。利益は、スタッフの「生活水準を高める」ために使うことも明記しました。今度また2号店出します。場所は決まっています。この2階です。
Q.2号店を出す時の注意点はありますか?
A.1号店を開く時は誰でも、「絶対にお客さんに満足してもらいたい」と思いますよね。その気持ちさえあれば、どこでやってもうまくいくはずなんですよ。でも、2号店はそうはいかないみたいです。
2店舗目となると、1号店とスタッフを割るか、オーナーの自分が立つか、店長に任せるかになりますよね。一つ目の方法だと、半分は新メンバーなのでモチベーションに差が出る。自分が立つと1号店が気になっちゃいます。店長に任せても、思いがちゃんと伝わっているか不安ですよね。
1号店は成功して、2号店を失敗する人は多いですよね。出す時は、自信の塊だから1号店と同じやり方をしてしまう。スタッフも店もお客さんも違うのに。気をつけなきゃいけないですね。
■□オープンしてから・・・ ココを変えた!■□
「飾る」から「持っていく」へ!
炉端焼きにする食材を、オープン当初はカウンターの上に「飾って」いた。しかし、生産者の思いを"伝える"という当初の目的を思い直し、待ちの姿勢をやめた。かご盛りにして、スタッフがみずからお客のもとへ「持っていく」方法に変更。コミュニケーションの種にもなっている。
月に1回、接客研修を始める!
オープンして半年間は、閉店後の1時から5時まで毎日ミーティングを開いていた(10時に出勤)。疲れるスタッフが増え、月に1回、参加者が楽しめる接客研修に変更した。例えば、「モノマネ研修」。オーバーアクションの練習に動物のモノマネをして、それを他のスタッフに当ててもらう。他人に伝わる表現力を養う。
■□オープンしてから・・・ ココは変わらない!■□
国産の食材にこだわり!
「日本の食文化を伝えたい」というコンセプトは、開業当時から変わらない。後々、カロリーベースでの日本産食材の提供量を星の数で表す「緑提灯」(http://midori-chouchin.jp/)にも参加。実際は90%以上を達成しているので満点5つ星を名乗れるのだが、「謙虚に4.5コにしています」と大谷さん。
コミュニケーションを大切に!
「飲食店で食べ物が美味しいのは当たり前。その上で人=接客が大事」と語る大谷さん。同店にはコミュニケーションの種が多く隠されている。例えば、地鶏の一夜干しをお客の見える場所で干す。気がついたお客が、スタッフに尋ねる。コミュニケーションが生まれる。
■□今だから言える! 成功のコツ■□
ボトムアップが"やる気"を引き出す!
社長の思いだけで走ってはダメです。スタッフは反対できないし(笑)、窮屈になるから。逆に、なぜがんばろうと思うのか。それは充実感と達成感と感動があるからですよ。その3つを得るためには、やりがいが必要です。やりがいを感じるのは、自分の意見が通った時。スタッフから自然に「やりましょう!」という声が上がったら、イケますよ!
■□shop info. ■□
『炉端焼き 一歩一歩』
東京都足立区千住3-53
TEL:03-3870-9395
営業時間:17:30~24:30
定休日:無休
■□shop data■□
坪数:18坪
席数:38席
客層:20後半~50代男女
客単価:4,000円
大きな地図で見る
「独立開業応援雑誌『新しい飲食店開業』3月号より転載」
コメント:0
トラックバック:0
- この記事へのトラックバックURL
- http://aqsh.net/webapps/mt/mt-tb.cgi/372














