婚活とロゼワイン
- 2010年6月28日 09:43
前回は婚活のなかでのパーティに焦点を当て、ワインにまつわるお話をお伝えした。今回はロゼワインにフォーカスをして婚活を眺めてみたい。
婚活で華々しく、ガツガツと活躍しているのはなんとも逞しいアラサーの女性たちだ。彼女たちはただ時流に乗っているだけではなく、むしろ時流を作り出しているといっても過言ではないような気がする。
かつてシャンパンのクォーターボトルがカフェを中心にストローを挿した状態で出され、一部の女性たちに支持されていた。これはパリコレでのスーパーモデルたちが流行らしたものらしいが、ファッションに敏感で感度の高い日本女性が見逃すはずはない。ストローでシャンパンをすするのは酔いが早いからか、また本来の高級感のイメージとはかけ離れていたからか、残念ながら大きなトレンドにはならなかった。とはいえ、後のシャンパンブームの足掛かりにはなったと思う。
さて、今回のロゼワインだが、赤ワインや白ワイン、シャンパンと比べると中途半端な飲み物という印象が拭えない。またこれまでは品質的に凡庸であり、長い間、光があたることはなかった。ところがここ数年品質の向上が目覚ましく、特にヨーロッパにおいてはブームと呼べるものになっており今後も相当の消費が見込まれている。
ファジーな飲み物という位置付けから、徐々に確立されたワインのカテゴリーとして認められ、ワイン愛好家の間では消費が増えていった。ついにというべきか、やはりというか、アラサーのお眼鏡にかなったのか、今、彼女たちの重要なアイテムのひとつになっている。
まずはなんといってもあの微妙な色だろう。ファッション的にみるならば赤ワインほどの硬派さはなく、初心者的な白ワインとも違う。またシャンパンのもつ非日常的な印象もない。経験を積んだ彼女らの求めていたものがロゼワインだったというべきか。
彼女たちのリードによってワイン全体のトレンドに変化があらわれるかもしれない。ワインに携わる者としては大いに期待したいところだ。
婚活というと文字通り結婚のための活動なのだろうが、アラサーにとってはそれだけではない。婚活=トレンドという図式の中での彼女たちの主張、こだわり、ファッションリーダーとして自負心など、何をチョイスするのか今後も目を離せない。
最後に昔の話で恐縮だがロゼワインについての悲しくも切ないお話を披露したい。
かつてはレストランといえどもシャンパンのロゼはいざ知らず、ロゼワインをリストに加えているところは少なかった。売れることがほとんどなく、あったとしてもほとんどが甘口のロゼ、飲まれる方は本当に少なかった。
あるとき男性の顧客がある女性を連れて来た。二人での初めての食事だったらしく、男性は彼女にかなり気を使っていたように思う。ワインを選ぶ段階になって彼女に何を飲んでみたいのか尋ねていたのだが、その時、彼女はたった一言、『ロゼ!』、ところがロゼワインはリストにはなかった。
男性のなんとかしてくれという切実かつスケベな訴えが目に表れており、こちらとしてもなんとかしてあげたい、そんな双方の思いが一致し、シャンパンのロゼをマドラーを使ってぐるぐるとまわすという掟破りの荒業を繰り出し、泡を一生懸命消したことを覚えている。
さらに美しいガラスのデカンタに移して、男性にテイスティングしてもらった。お客様のためとはいえシャンパン・ロゼをこのような形で出すのは気が引けた。これもおもてなしのひとつと、妙に自分なりに納得していたと記憶している。さすがに高価なロゼ・シャンパンともなると泡を消しても、ワインとしての素性の良さは十分に出ていた。これで大丈夫と女性のグラスに注いだ後、彼女の言った一言『うわ~、甘くな~い』・・・
当時、ロゼワインは甘いものと相場が決まっていた。悲しいやら、情けないやら、仕方ないやら、
アラサーがロゼワインのスポークスマンになっていることに感謝すべきかも知れない。
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