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ワインブームとワインの「誤解」:その3 ~赤ワインは体に良い?~

  • 2009年6月10日 16:16
  • アクシュニュース

ワイン関連コラム☆~赤ワインは体に良い?~

1990年代前半からの健康ブームのなかで「フレンチパラドックス」が広く知られるようになったことが、ワインブーム本格化の原動力となったことは前々回お話ししました。

 

 この話題の中心は、赤ワインに含まれるポリフェノールが心臓病などの循環器症に一定の効果がある、ということでした。しかし、その情報は詳細な説明のない偏ったものであったためにいろいろと誤解を生じました。今回は「赤ワインは体に良い?」という話題を中心に、赤ワインに関する「誤解」を取り上げたいと思います。

 

★「フレンチパラドックス」とは?

 

 ここで「フレンチパラドックス」を少し整理してみましょう。

 動物性脂肪の多い食事は血中の悪玉コレステロールを増加させます。悪玉コレステロールはそれ自体が有害というわけではありませんが、活性酸素によって酸化されると酸化脂質という有害な異物となってしまいます。酸化脂質はマクロファージという血液の掃除屋ともいえる物質が取り込んで封じ込めてくれますが、異物を大量に取り込んだマクロファージは泡沫細胞と呼ばれる物質に変化し、血管の内壁にへばりついて血栓となったり動脈硬化などを引き起こします。動物性脂肪の多い食事と循環器症の関連をごく簡単に説明するとこんな具合です。

 

 一方、赤ワインには他のアルコール類に比べて、渋みのもとであるタンニンや赤い色素のアントシアニンなどのポリフェノール類が多く含まれています。ポリフェノール類は他にもココアのカカオ・ポリフェノールや、お茶に含まれるカテキンなどもありますが、どれも強い抗酸化作用があることで知られています。

 

 1992年にフランスの研究者によって、「フランスやベルギーなどの人々は、ほかの西欧諸国の人々よりもチーズやバターといった乳脂肪や肉類、フォアグラなどの動物性脂肪を大量に摂取しているにもかかわらず、心臓病の死亡率が低い。これは彼らが日常的に飲んでいる赤ワインに豊富に含まれる『ポリフェノール』によって、動脈硬化が抑制されているためである。」という「仮説」が発表されました。これがWHO(世界保健機関)などによって「フレンチパラドックス」と呼ばれるようになり、報道などでも取り上げられて有名になりました。

 

 その結果、それまであまり赤ワインを多く消費してこなかったアメリカや日本などで、赤ワインの消費が爆発的に伸び、「赤ワインブーム」となったのです。

 

★「赤ワイン」を飲みさえすれば「体に良い」のか?

 フレンチパラドックスは有名になりましたが、この話が「仮説」、つまり実証された研究ではないことや、きちんとした説明を伴わずにやや誇張気味に広められたことはあまり知られていないかと思います。しかも話がかなり単純化され「赤ワイン=体に良い」と短絡的に解釈されるようになってしまっています。

 

 確かにフレンチパラドックス以降これに似たワインに関する「仮説」や、フレンチパラドックスをさらに裏付けるような論文が次々に発表されていますが、どれも赤ワインだけがそうした効能に関与しているとは言い切れていませんし、正確なデータに基づく「実験」や「実証」ができていないのが現状のようです。

 

 そうした中で、どうやら赤ワインに含まれるポリフェノール類は循環器症に一定の効果がある「らしい」ということが確かになりつつはあります。しかしながら研究者たちの間では、ただ「赤ワインを飲めばよい」のではなく、様々な食習慣や生活習慣が複合的に関与しているらしいということも常識となりつつあります。

 

 その常識とはすなわち、「適量」の赤ワインを「習慣的」に飲んでいること、赤ワインばかりでなく濃色野菜やオリーブオイルなども多く摂っていることなどです。しかもこの傾向はフランスに限らずイタリアなどでも見られることも知られてきています。またフレンチパラドックスに触発されたようなかたちで例えば「茶カテキン」などのような食物に含まれる様々な物質の抗酸化作用や抗癌作用の研究が進められたり、たとえば私たちの日々の生活の中でも「メタボリックシンドローム」への対策などのような日々の食習慣、生活習慣から高血圧や循環器症を防いでいくという発想が定着してきたりもしています。

 

 短絡的な「赤ワインは体に良い」という「誤解」はともかくとして、フレンチパラドックスは「仮説」であったにもかかわらず、いや「仮説」であったからこそ、その後の食と健康に関する研究を飛躍的に進めることとなり、健康のための生活習慣の改善意識を高めることになったわけで、非常に意義のある研究であったことに間違いありません。

 

★「高級赤ワインを飲むと寿命が延びる」?

 フレンチパラドックスが紹介されるとすぐに報告されたのが、赤ワインでも高級なものほどタンニンなどのポリフェノール類が多く含まれるということでした。確かに科学的な分析によれば高級とされるボルドーの格付けシャトーものなどは、格付けのないワインに比べて非常に多くのタンニンを含んでいます。さらにはブドウ品種によるタンニン含有量のちがいなども報告されました。

 

 食と健康の関連において「バランスの良い食事」「偏りのない栄養の摂取」というのが常識になっている現代ですら、アントシアニンが目に良いとテレビ番組で紹介されるやブルーベリージャムがスーパーマーケットで売り切れるような状況です。10年以上も前、そうした話が発表されるや、ポリフェノールが多いから高級赤ワインを飲むということがトレンドとなり、高級赤ワインを飲めば長寿を約束されるような風潮まで生まれ、最近では人工的にポリフェノールを強化した赤ワインが発売される事態にまで至っているのです。

 

 この風潮が「誤解」であることは、考えてみれば簡単にお分かりいただけるかと思います。フランス人は「日常的に赤ワインを飲む」から循環器症が少ないのであって、ボルドーの格付けシャトーもののような高級ワインをフランスの方たちが日常的に飲むはずがなく、高級赤ワインをフレンチパラドックス説にのっとって飲むというのはちょっとおかしな話なのです。「適量」の赤ワインを「習慣的」に飲むということがポイントで、ポリフェノールの多い赤ワインを一時的に飲んでみたところで、大した効果は期待できないというわけです。

 

★「体に良いから赤ワインを飲む」=「美味しくなくても仕方ない」?

 さらには「体に良いから」という理由で、明らかに飲み頃と言うには早すぎる状態の高級ワインを口にした方から「大して美味しくもない」「ワインなんてそんなもの」「良薬は口に苦しというじゃないか」などという声を聞くこともありました。明らかになにか間違っていると思うのです。

 

 確かに歴史的に見ても、キリスト教の修道院などで病人に「薬」としてワインが投与されたことなどもあります。しかしそれは決して高級なワインなどではありませんでしたし、むしろ高級ワインはこうした場面に用いられることはなかったはずです。

 

 高級赤ワインの魅力の真髄は、つくられて間もない時期の渋みや苦味を伴う一見「重い」かのような口当たりではないことは、ワインをよく嗜まれる方ならご存知のことと思います。そうしたワインは飲み応えがあるかのように感じられますし、そういう口当たりがお好きな方がいらっしゃることをやみくもに否定するつもりはありませんが、むしろそうした飲み応えがなくなるくらいにしっかりと熟成させた後に現れる、えもいわれぬ風味こそが魅力の真髄なのではないでしょうか。

 

 「体に良いから」とポリフェノールを多く含んだ高級な赤ワインを飲んでみて、大して美味しく感じない、あるいは苦く感じるといったことを「ワインなんてそんなものだ」思うのは、やはりワインの飲み方を「誤解」していると言わざるをえないのです。

 

★「赤ワインは体に良い」という話は、酒好きの言い訳?

 確かに「適量」の赤ワインを「習慣的に」飲むのは体によいということに間違いなさそうです。しかし様々な食習慣や生活習慣が複合的に関与しているらしいということもわかってきています。つまるところ人間が長い歴史の中で食べたり飲んだりしてきたものというのは、バランスよく摂取してさえいれば基本的に体に良いものばかりなのではないでしょうか。だとすると、赤ワインばかりを取り上げて「これは体に良いのだ」と声高に言うのは、酒好きの言い訳や酔っ払いの戯言(たわごと)に等しいのかもしれません(笑)。

 

 さて、次回は「重厚な味わいのワインは良いワイン?」と題し赤ワインだけでなくロゼワインや白ワインにも関わる「誤解」を取り上げたいと思います。

 

筆者プロフィール

ペンネーム:You

 フランス料理店にて修業の後、昨年まで都内大規模エンターテインメント施設でチーフ・ソムリエをつとめていました。

 これまで最も感銘を受けた赤ワインは、1999年に飲んだメオ・カミュゼの「ニュイ・サン・ジョルジュ オー・ブード1989」です。アンリ・ジャイエの有力な後継者の一人といわれるジャン・ニコラ・メオ氏がつくったワインの、10年の時を経たその艶やかさは、10年前の思い出を語りあうのにちょうどよかったかもしれません。

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