外食業にも役立つ【よその産業】の知恵 第17回 本当は人体に有害だった無農薬野菜
- 2010年5月25日 10:32
第17回 本当は人体に有害だった無農薬野菜
執筆 経営評論家 藤原大輝
無農薬野菜について、美しい誤解をしていないだろうか?
「無農薬野菜は安全」だとか、「普通の野菜には残留農薬が含まれていて人体には有害」だとか。。。
最近では、消費者の選択基準がとにかく「安心、安全」がキーワードになっているから、本当は「安全な無農薬野菜」を使いたい。でも、外食産業ではコスト高になるので、仕方なく普通の野菜を使わざるを得ない――そう思っていないだろうか?
実はとんでもない大ウソだったのだ。
無農薬野菜は、安全ではない。それどころか、実は残留農薬を含む普通の野菜よりも、無農薬野菜のほうに人体にとって危険度が極めて高い「有毒物質」が高濃度で含まれていたのだ。その有毒物質とは・・・
無農薬野菜は、安全ではない。それどころか、実は残留農薬を含む野菜よりも、人体にとって危険度が極めて高い「有毒物質」が高濃度で含まれていたのだ。その有毒物質とは、「天然の農薬成分」といわれる物質だ。
つまり、「無農薬野菜」は「無農薬」ではなかったのである。
以下、このテーマに詳しい東京大学農学部名誉教授の唐木英明による論考(唐木英明:食品不安の時代,『學士會会報』No.880,2010年 所載)を引用しつつ、外食産業が無農薬野菜に恐れる必要がまったくないことを見ていこう。
全ての植物は、昆虫や細菌や動物から身を守るために、殺虫成分や殺菌成分になる化学物質を自ら持っている。これら植物に内在する化学物質は、この地上には何千と存在する。米国カリフォルニア大学教授のブルース・エイムズという生化学者(発癌物質の研究では第一人者らしい)がそのうちの52種類を調べただけでも、27種類に発癌性が確認されたという。
ニンジン、ジャガイモ、ナス、セロリ、パセリ、キャベツ、リンゴ、モモ、ナシ、ゴマ、キノコなどすべての野菜や果物も、天然の発癌性物質をはじめから持っているのだ。
反対に、「現在使用されている農薬には発がん性はありません」(唐木前掲論文)という。
重要なのは、農薬に使われている化学物質は、作物に有害な昆虫などに対してのみ有効な成分であり、規制された使用量の範囲内であれば人体には有効ではない(つまり、人間には毒として作用しない)成分であることだ。これを選択性という。
要するに、「害虫には効くが、人間には効かない」という選択的な効き方をする。
ところが、野菜や果物が持っている「天然の農薬成分」には、この選択性がないケースが殆どだ。
だから、「天然の農薬成分」は、その殆どにおいて害虫にも有毒だが、この植物を食べる動物(人間を含む)にも有毒に作用してしまう。
で、ここからが面白いところだが、植物は何も害のないときにはこの農薬成分を放出しないが、害虫によって喰われるなどのストレスを感じたときに、殺虫成分を放出する。ということは、無農薬栽培で虫が植物を食い荒すような環境では、天然の農薬成分が存分に植物内に行きわたる。つまり、動物にとっても非常に危険な食物になる。
その一方で、農薬を適量使用して害虫を駆除しておけば、植物のストレスは低く、天然の農薬成分の分泌も抑制されるから、この植物を食べても癌になることはないというのが厚生労働省の研究によって実証されている。
このように、農薬=危険、無農薬=安全という安易な図式は、科学的には全く成立しないのだ。煽動的なマスコミと、それに踊らされた消費者に振り回される愚は避けたいものだ。
とはいえ、人は良いことよりも悪いこと、すなわち「リスク情報」に敏感に反応する動物である。これは、人類が進化の過程で習得した生き残りの本能だ。危険情報を無視したら死ぬが、安全情報を無視しても害はない。だから、これが嵩じて、良いことよりも悪いことに注意関心が行きやすくなる。
中国製冷凍餃子事件の直後に、冷凍餃子による中毒症状を訴えた人の数は、全国で6千人近い数にのぼった。しかし、実際に有機リン中毒と確定したのは最初の10人だけで、他は全部「気のせい」だった。(唐木前掲論文による)
これが人間の持つリスク回避本能なのだ。
外食産業は、本稿でみたように、「通常市販されている野菜に含まれる残留農薬は、無農薬野菜よりも人体に安全である」ことと、「人間は直感的に悪い情報に敏感に反応する本能を持っている」ことの2点をよく心に留めておき、マスコミや消費者の過剰な反応に一喜一憂しないことが肝要だ。
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