外食業にも役立つ【よその産業】の知恵 第11回 婚活パーティーに見る女性主導の店選び
- 2010年1月25日 13:00
執筆 経営評論家・藤原大輝
■第11回
婚活パーティーに見る女性主導の店選び
世は婚活ブームと言われている。婚活の主役は言うまでもなく、女性。それも、好みの男性を追い求めて嗅覚鋭く嗅ぎ回る「肉食系」の女性であり、歳の頃では30代が最も獰猛(どうもう)で、アラサー(場合によってはアラフォーも含む)という名の亜種が異常繁殖している。外食シーンにおいても、いまやこの亜種による狩猟の場としてのマーケットが無視できない規模に成長している。そこで、この亜種の行動様式の背後にある思考回路を分析し、狩猟フィールドとして呼び込むヒントを考えていく。
自動車が売れないと言われて久しい。特に若者が買ってくれない。
以前は、「携帯電話などに金を使うので、車などに回すお金がないから」と言われてきたが、実態はそうではなかったようだ。
いまの女性多数に聞いた大規模なアンケート調査の結果などによれば、「環境破壊の道具である車などに乗っている男など信じられない」というのが若い女性の意見として主流だとのこと。
つまり、金がないから持たないのではなく、いくら金があっても欲しくない、持っていることが恥ずかしいから持たないのだ。完全にマイナスイメージの商品になってしまっている。
この、「自動車は環境破壊の道具」という見方は、視野の狭い一方的な発想だ。しかし、「地球温暖化」の議論から始まる「環境最優先」の風潮に対してまったく疑念を感じないいまの世代を論破することは容易ではない。
婚活の発想もこれと同様と言える。
いまの肉食系女子の発想は、すべて「条件」である。「条件」が人生のキーワードになっているといっても過言ではない。
バブル絶頂期には、若い女性の追い求める男性の条件として「3高」と言われたことがあった。身長、収入、学歴の3つが高いことだそうだ。
これが世界大不況下の肉食系アラサー女子になっても、内容は異なるが「条件優先」の発想には変化がない。変化がないどころか益々頑なになっている。
日本や日本人のことを良く知る知日派の外国人が驚くのは、「日本の女性は、パートナーを好き嫌いで選ばない」ことだそうだ。「好き嫌い」は、「スペック」の2の次になっている。
肉食系女子がハントする対象を選ぶときに、「条件」にこだわるのは、いまの消費シーンの流れにある。
いまの若年層(といっても40歳程度までを含む)の購買行動は、事前の詳細な調査が特徴だ。インターネット(パソコンや携帯電話経由)で製造元の提供する公式情報のほか、ユーザーの口コミ情報なども含めて非常に広範に情報収集してから販売店に赴く。
販売店でも販売員の推奨に左右されることは少なく、あらかじめ仕入れておいた情報の確認が主たる目的となる。売り場の雰囲気作りやイメージの醸成に感化されることは思いのほか少ない。
要するに、感性では買わないのだ。
反対に、製品のスペックや環境負荷など、カタログのデータと周囲の普及率(横並び意識)への共感が高い。データというが、「正しいデータ」とは限らない。自分では論理的で客観的だと思い込んでいるだけという側面も大いにある。屁理屈に近い。
屁理屈であっても、理屈は理屈だ。思い込むほうは大真面目である。だから、単純に「女性が好みそう」などという漠然とした商品やサービスでは売れない。
肉食系女子の掲げるパートナーの「条件」は、非常に厳しい。だからこそ、女性が溢れて男性が払底する。
いまや婚活サークルは女性会員であふれて、ごく少数の男性参加者を奪い合う光景があちこちで繰り広げられている。
インターネット関連サービスを展開するA社は、年に数回、イベント会場や大型飲食店を借り切って会食つきのイベントを開催しているが、毎回、参加者の85%は女性だ。筆者もその1回に参加してみたが、とにかく妙齢の女性ばかりなので驚いた。
そして、男性が異常に少ない。少ない男性のうち、筆者のような中年オヤジが半数近く居るので、これは肉食系女性からは最初からターゲットにされないから、20代・30代の男性となると、会場の約1割しかいない計算になる。この数少ない獲物を求めて、女性達が襲い掛かる様は、最初はあっけにとられて口をあんぐりとするしかない光景だった。
筆者が若かりし頃には、この手のイベントでは男性には女性の倍額くらいの(あるいはそれ以上の)会費が設定されていて、とにかくどこへ行っても若い女性は少なく、女性がいればチヤホヤされたものだ。いまは、正反対どころか、人類史上全く初めてのオス・メス逆転の食物連鎖時代に突入している。
30歳くらいの男性が1人で立っていると、たちまちアラサー女性3~4人が取り囲むや否や、名刺を取り出して女性のほうから自己紹介して売り込んでいく光景は、話には聞いていたが実際に目の前で展開されているのを目撃すると、現実として受け入れるまでにはドッキリカメラか何かではないかと疑ってしまうほどの衝撃だ。
他方、ボランティアでワイン会を長年運営しているBさんによると、彼が簡単な立食でワインを飲みながら歓談するパーティーを始めた12年ほど前には、男女比は男性6に女性4くらいの比率だったが、いまは女性が8割以上を占める。毎月開催しているが、下手をすると参加申込が全員女性だけになりそうになって、締め切り直前にあわてて知り合いの男性数名に声をかけて出席してもらう事態になることもあるらしい。パーティーの当日は、ワインそっちのけで目の血走った女性たちが僅かな男性めがけて取り囲むのだそうだ。
異性を口説く場といえば、洋の東西を問わず「外食」というのは定番だ。いまや店の選定から、料理の選定まで、女性主導が常識となっている。
単に「女性が好みそう」などという漠然としたコンセプトではなく、マニュアル世代、事前に調査を綿密に行うデータ重視世代の女性にアピールする組み立てが出来れば、狩猟の場として予算の上限も緩んだフィールドとして実績がついてくるだろう。もともと横並び意識の強い層なので、成功するサファリとしての評価が確立すると、次々に伝播していく可能性が高い。
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