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ワインブームとワインの誤解:その8 ~国産ワインの誤解 その1~

  • 2009年11月25日 09:34
  • アクシュニュース

ワイン関連コラム 前回は日本のワイナリー見学ブームについて取り上げました。私自身も先日行われた「ワインツーリズム山梨2009」というイベントに参加し、その盛況さを改めて実感してまいりました。こうした動きは日本のワイン消費が単なる流行から本格的に生活に浸透してきている証拠と言えるわけで、実に喜ばしいことなのですが、私ははじめ、そうした日本のワイナリー見学ブームにちょっと違和感を覚えました。

 

ワイナリー訪問というのは普通に考えれば「このワイン美味しいから、今度ワイナリーに行ってみよう」という動機で行くものと思いますが、ワイナリー見学に行かれるお客様皆さんが本当にそう思われているのだろうか、という疑問がどうしても沸いてしまったのです。と言いますのも、私自身国産ワインを美味しいと思うようになったのはかなり最近のことだからなのです。

 

しかし私がそんな風に思ってしまったことも、「誤解」というかただの「偏見」でしょう。ということで、そんな国産ワインにまつわるお話を今回から何回かにわけてしたいと思います。

 

★最近、国産ワインがおいしくなってきた!

以前に筆者自己紹介でも書きましたが、ここ最近でもっとも感銘を受けた白ワインは、中央葡萄酒が北海道余市の契約栽培農家のブドウからつくる「ケルナーレイトハーベスト 2008年」でした。甘さを残した爽やかで軽やかな、飲み心地の良い白ワインです。凝縮感や力強さを感じることはありませんが、雑味がなく透明感のある味わいでとてもピュアな果実味を楽しむことができます。「日本のワインもここまで美味しくなってきたか」と正直思ったものです。

 

ドイツの交配品種であるケルナーは、ブドウ栽培にあまり向かない寒い気候地域でも、出来上がるワインの酸や果実味がバランスよく優しい味わいに仕上がる品種です。リースリングなどの高級品種と比べて二流の品種として扱われてしまいがちですが、ドイツでは栽培地域がかなり拡大していて、最近は日本でも特に北海道で良い成果を挙げています。また中央葡萄酒ですが、国産だけでなく世界中からエントリーされるワインコンクールであるジャパンワインチャレンジで表彰(金賞)されたり人気漫画に取り上げられたりするなど近年大変注目を集めています。ただ、中央葡萄酒だけでなく国産ワイン全般がこのところだいぶ美味しくなってきているようにも思います。

 

私が日本のワイナリーのワインを美味しいと思うようになったのは、確か3、4年くらい前で、それは島根産や山形産のシャルドネでした。山梨の甲州を美味しいと思ったのはもう少し後のことです。「日本のワインも美味しくなりましたね」ということが最近生産者以外のワイン業界の方との話題によく上りますが、皆さんだいたい同じようにこの3、4年のことだとおっしゃいます。

 

生産者の方々には申し訳ないのですが、以前は「薄くて甘い」か「薄くて酸っぱい」と思っていました。現にそうしたワインが今でもあることは否めませんし、同じように思われていた方、あるいは今でもそう思われている方が実は結構多いのではないかと思います。しかしここ数年で事態は変わりつつあります。やさしい果実味の美味しい国産ワインに出会うようになってきたのです。

 

★ワイン造りに不向きな日本の気候 ⇒ それでも美味しいワインが造れるようになってきた!

日本は凝縮感や力強さのある味わいのワインを造りにくい気候であるといわれています。日本では夏から秋にかけて台風や秋雨前線などの影響で雨が多く降りますが、ブドウの実が熟すこの時期の降雨は、みずみずしさが求められる食用ブドウづくりには良くても含有水分の少ないほうがよいとされる醸造用ブドウづくりにはあまり向かないからです。

 

そのような環境の中で、日本では最近まではヨーロッパの有名な産地のワインを目標とし、ワイン醸造向けの高級とされる品種が積極的に栽培されワイン造りがすすめられてきました。しかし醸造技術は大きな進歩を遂げたものの、出来上がるワインは同じ高級品種を使っていても果実味や凝縮感などヨーロッパのものとは大きな隔たりがありました。もちろん実際にやってみなければわからないことではありましたが、同じ品種を用いたからといっても単純に同様の品質が得られるというものではなかったのです。もちろん「桔梗ヶ原メルロー」など、ごく一部では国際的なワインコンクールで高い評価を得るなどの成果を上げることができたケースもありますが、全体からいえばほんの一部と言わざるをえないでしょう。

 

そんななか、最近は醸造用としては決して高級とはいえないブドウ品種であっても、ワインとして好ましい仕上がりになる品種のほうが日本でのワイン造りにはむしろ合っているのではないか、と考えられるようになってきました。品質の基準を無理にヨーロッパなどにあわせるのではなく、とにかく私たち日本人が飲んで美味しいと思えるワインを造ることができれば良いのではないか、ということです。先ほどのケルナーもそのような成果のひとつですし、日本固有の品種といわれる甲州もそうです。

 

甲州種から造られるワインもここ数年で本当に美味しくなってきたワインのひとつです。甲州というブドウは山梨県などで長く栽培され、江戸時代にはすでに食用ブドウとして定着していたようです。甲州は食用とされてはきましたが、実は植物学的にはワイン醸造用種であるヴィティス・ヴィニフェラという種に属する日本固有の品種です。最近でこそ「日本には甲州がある」とよく言われますが、1995年の国際ソムリエコンクール優勝者である田崎真也さんがそう言い出すまでは、甲州ワインは山梨県の土産物という程度にしか認識されておらず、専門家からはほとんど見向きもされていませんでした。それが最近ではジャパンワインチャレンジで表彰されるほどの評価を得るようになってきたのです。

 

決して高級ではないケルナーや甲州といった品種からもワインが積極的につくられるようになりその評価も上がってきていることは、とてもよい傾向でしょう。日本はフランスの上等なワインのような風味や味わいを持ったワインをまねてつくろうとしてもできる気候ではないわけで、それならば必ずしも高級とはいえない品種であってもある程度完成度や個性のあるワインを造れるようになることのほうが、ワイン生産が本当の意味で日本に定着したことになるからです。そのための技術をもうすでに日本の生産者は手にしているのです。

 

日本の気候は確かにワイン造りに向かないかもしれませんが、それでも美味しいワインを造ることができるようになってきた、ということなのです。

 

★偏見を捨てて日本のワインを応援する

私は最近のワイナリー見学ブームに違和感を持ってしまいましたが、やはりこれはただの偏見でしょう。消費者の皆さんは最近の日本のワインをやはり美味しいと思われているのでしょう。

 

確かに日本はワイン造りには向かない気候ですし、以前は美味しい国産ワインに出会ったことがありませんでしたが、だからといって「日本のワインは美味しくない」という印象をいつまでも引きずって「日本のワインなんてこんなもの」などという先入観や偏見を持ってしまうことは、決して望ましいことではありません。心がけの問題とか生産者のたゆまぬ努力云々という感情的なお話だけではなく、実際美味しいと思える国産ワインに出会うことが増えているのです。ここ最近のワイナリー見学ブームは、何の先入観もない消費者の方々が素直に日本のワインを美味しいと思われている証拠なのでしょう。

 

どこの国のワインであろうと美味しいものは美味しいのであり、「日本のワインだから」という理由で「美味しくないであろう」という先入観を持ってしまっていたことは恥ずべきことですらありました。自分の国のワインですから、もっと素直に応援していきたいと今では思っています。

 

 

次回は国産ワインをめぐる偏見、誤解についてさらに追求していきたいと思います。

 

筆者自己紹介

ペンネーム:You

プロフィール:

フランス料理店にて修業の後、最近まで都内大規模エンターテインメント施設にてチーフ・ソムリエをつとめました。

先ごろボジョレーヌーヴォーが解禁されましたが、国産ワインの一部にも新酒の解禁イベントを行っているものがあるのはご存知でしょうか。113日に山梨県産の甲州とマスカットベーリーAの新酒解禁イベントが地元山梨と東京の日比谷公園で行われました。山梨県内35のワイナリーが参加し、今年の新酒を一度に試飲することができたのですが、3日は祝日だったこともあり日比谷公園には約6000人もの人出となり、それぞれの試飲ブースに長い列ができていました。東京会場では翌日もイベントが行われましたが、前日の様子が朝のニュース系番組で放送され平日にもかかわらずかなりの人出になったそうです。今年の山梨のブドウの出来は非常に良かったそうで、私も美味しい甲州ヌーヴォーに出会うことができました。

一方のボジョレーヌーヴォーですが、世紀のヴィンテージと騒がれた2005年を超える出来との評判にもかかわらず、メディアなどで大した騒ぎにならなかったのが逆に印象的でした。

 

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