飲食店失敗の研究 第4回「原価率を高くし過ぎたのがアダに」―「お客様のため」を思い過ぎて収益悪化」
- 2008年8月25日 14:40
知名度の高い商業ビルの飲食フロア。ビルの新築オープンと同時に開業したのは、業歴の長い外食企業E社の経営するF店。
きらびやかなオープン初日。どの店舗もお客が押し寄せて、店内はどこも満席、店の外にはどこも行列が出来ていた。F店も例外ではなく、店長はとめどなく押し寄せる来店客を断るのが仕事になっていた。
開業景気は、しかしいずれは終息する。要は、その馬鹿騒ぎの期間が長いか短いかだけの違いだ。
そのビルには何軒も飲食店が入居しているが、数年たっていまだに超繁盛している店舗と、閑古鳥が鳴くことが常態化している店舗とに早くも分かれてきた。
F店には閑古鳥は鳴いていない。それどころか、いつ見てもほぼ満卓だ。
テーブルも椅子もゆったりと配置され、居住性がすこぶる良い。それなのに、メニューを見ると、料理もドリンクも目を疑う安さだ。繁盛しないはずはない。
これが自らの首を絞めようとは!
大型商業開発の中に入居する店は、高額の家賃をまかなうために、原価率を低く抑えようとする。その結果、お客には街場の店に比べて高く感じてしまうケースが多い。
F店は、この逆を行ったから、お客に支持された。
しかし現実には「骨折り損のくたびれ儲け」に陥った。大勢の客をさばいても、客単価が低いため売上貢献は最小限。おまけに、夜景のきれいな立地条件が災いし、長居するお客が続出。
ワインを安く気軽に楽しんでもらおうというコンセプトとは裏腹に、最初の1杯だけグラスで注文して、あとは「お冷や」で3時間粘るOLグループが連日押しかけた。
ワインのお店ということで採用したソムリエが退社して行った。
E社の社長は悩んだ。メニューを作り変え、価格帯も見直し、ワインリストも作り変えた。
OLが談話室代りに長く居座る利用に対抗するチャージも導入してみた。
パーティーコースは夜景の見える席と見えにくい席で価格差をつけた。リゾートホテルの「オーシャンビュー」料金だ。
かくて値付けは難しい。
社長の苦闘が結実し、早く晴れやかな表情になる日を願ってやまない。
(今回は「失敗」ではないので、番外編ということで参考事例を採り上げた。)
★この連載は、すべて実話を基に構成しています。(杭杉能美子)
コメント:0
トラックバック:0
- この記事へのトラックバックURL
- http://aqsh.net/webapps/mt/mt-tb.cgi/10














